5分診療に思う

コロナ禍で医療費は嵩み医療従事者は減少し尚且つ日本国民も減少に歯止めがかからない。かつて精神病院という言葉のイメージは重く、社会的偏見により精神科の敷居は非常に高いものだった。それらはハートクリニックという横文字と駅近などのこじんまりしたクリニックの存在によって誰でも気軽にお世話になれるようになった。心療内科や精神科は昭和に比べて10倍以上に増えたと聞いた。それでも敷居が低くなったお陰と時代背景のせいで患者数は膨大に増えた。5分どころか3分、いや1分で出てくる患者もいる。忘れ物でもしたのかしら?と思ったが手には処方箋が握られて真っ直ぐに窓口に向かって行った。5分感覚でベルトコンベア乗ったマウスの絵を想像させた。このスピードで頭を切り替えなければならない医師の方も大変だろう。1日に診る患者数は既に医師のキャパシティを超えているのではないだろうか?今後も更に医療費は削られていくと言われる。心療内科は予約、予約でひと月から3ヶ月待ちのところまであるくらいだ。たかが5分されど5分とはいえ患者の背景を聴く時間などない。処方した薬の結果を聞いて現在の状況を聴いてキーボード入力するだけでも5分はキツい。休憩時間もなく次の患者に頭を切替えなければならない。もはや仕事とはいえず単なる作業の連続はじわじわと医師を蝕むことだろう。この異常事態を切り抜けるには医師はまず5分で患者を診れる訳がないと悟ることだ。次に自分の人生や生活の背景を知っている患者自身に処方する薬の選択権を半分委ねることだ。そうすれば患者は飲み慣れた薬への安心感を持てるし、医師もそれを参考にして更にプラマイすることで1人で負いきれない荷物を負うストレスを回避出来るのではないか?患者はメモ書して端的に話すべき事をまとめておく。それでも避けられない衝突があるだろう。私もつい最近それは起きたのだった。