星の数

私が中学生の頃は庭に出て夜空を見上げると満天の星だった。隙間なく散りばめられた星屑の中に星座をきちんと探すのが難しいほどだったのだ。いつしか見える星は減っていき、夜空に見えるのは二つほどだ。二つしか見えない、長いことそう思っていた。けれど最近は二つもある、と思えるようになった。「子を産まなかった石女よ、あなたの子は星の数より多い」と主は云われる。産んだ覚えもないのに何故こんなに優しくしてくれるのだろうと息子ほどの年の子に親切にされる度に、この聖句を思い出す。見えていなくても降るほどにある星を私は知っている。信仰とは見えないものを信じることである。信じられないと思う時、夜空を見上げる。真っ暗で何ひとつ見えない夜でも星の存在は確かに在る。見たことのないものや見えもせぬものやありそうにないことなど信じられないと一掃出来るだろうか?信じたければ人が何と言おうと信じればいい。