自閉スペクトラム【若見え論】

 自閉症の子は時間の速さが普通の子と異なって遅いと聞いたことがある。

 私が時間的に皆に合わせて生きにくいとはっきり感じ始めたのは中学生の時だった。50分の授業と10分の休み時間、午前中はこうして4時限目まであり、午後は2時限だった。美術の時間は2時間連続していて、私はこれがとても楽だと感じた。2時限授業を知ってから1限毎の授業が早送りのように思えたのだ。エンジンのかかりにくい私は、やっとエンジンがかかってきた頃に終わる授業が嫌だった。休み時間も短くて切り替えがしにくかった。1日24時間というのも早送りで疲れた。自分のペースを保つと3日間で2日の速度が快適だった。24時間では眠くならない。1日36時間がちょうど具合が良かった。中学生の頃は時間の速度が人と違うくらいにしか気付いていなかった。社会に出て働き始めると、この時間のズレが少しずつ身体に応えてきて社会の中で生きづらさを感じるようになり、それが自信喪失につながっていった。特に前日、とても楽しい気分になった翌朝は必ず起き上がれなくなった。楽しくて約束した翌日は突然起きれなくなる、そのことが怖くてリラックス出来なくなっていった。油断した途端に奈落の底に突き落とされる自分を呪った。社会性のない自分、普通に生きていけない自分、このことが望まない結婚へ踏み込む1歩になったと思う。

 私の職業も人間関係が苦手でひとりで集中してできるから向いていたのだと思う。

 全く科学的根拠もない1日36時間理論から、ひとりで勝手に人の3日が私の2日と割り出してみるようになった。実年齢30才の時、私は20才、33才で22才、60才で40才、、、と当てはめてみると大学生に見られていたことも実にシックリするのだった。