緑い子宮【若見え論】

証券口座を作りに行った時、免許証を渡した。首をひねりながらマイナンバーカードの提出を求められた。免許証やカードを照合しながら念押しされた。「あなたホントに〇〇年生まれですよね?」免許証もマイナンバーカードも偽造ではない。まただ!と思った。「よく言われます。あなただけではないですよ。」と言ってクレジットカードを作った時のことを話した。

 

「ここ、ここ、そうそう、ここ書いてくれたら今度はこっちも記入してねぇ〜あ、そこ、そこじゃない。そこは年金受給者が書く欄だからねぇ…」「私、年金受給者なの。」と言った途端に50才代くらいの彼女は固まった。

「ひっ、ひっ、ひぃーーーー👀💦 ご、ごめんなさい。あ、あんまり、若いもんだから……」とタメ口を謝った。

 この話をすると証券窓口の彼は苦笑して「そうだよねぇ〜」と納得した。

 

 初めから若く見られていた訳じゃない。むしろ中学生の時は高校生に見られ高校生の時は大学生に見られるほど老け顔だった。若く見られるようになったのは30才頃からだったと記憶している。30才の時、私をまじまじ見てつぶやくように高校の同級生が言った。「大学生にしか見えないわねぇ。」近所のおじさんも私の尻をペンと軽く叩きながら「おまえはいったい幾つになったら女らしい身体つきになるのかねぇ?普通は30才もなったら腰回りもふっくらしてくるもんだけど、いつまでも少年みたいな身体だよ。」というと父も「そうなんだよねぇ。」と相槌を打った。

 ある時、旅先で練り物をこしらえて売っていた女の子に私が「偉いわね、自分で全部やってるんだ。」と感心したら「だって24才だもの。」と応え、私に「大学生でしょ?」と言った。私はイエスともノーとも言えずに黙ってしまった。自分がその時34才だなんて言えようはずがなかった。

 

 子供がいない人は若いねぇ、と言われたりするけど最近は私だけでなく子供がいても実年齢より若いお母さんは多い。娘と姉妹にしか見えない母親はいくらでもいる。特に男性より女性の方が若いようだ。

 

 私は月経困難症だった。これは女性ホルモンの分泌量が少ないからだそうだ。すると当然のこと女性らしい身体つきにはなっていかない。高校生の時に月経困難症を和らげるためにホルモン注射をうちに行ったことがある。どこででも立っていられないほどの痛みで他所様の厄介になったりするので母が勧めてくれたのだ。しかし左右交互に7日か10日づつ注射すると注射の後の痛みも失せないのに次がやってくる。薬物依存症のような腕になって、大して効果もなく、最も嫌だったのは高校生で産婦人科に通うことへの抵抗だった。じきに通院を止めた。

 この女性ホルモン分泌量も一役かっているのではないかと、若見えの原因は知らないけど、私なりにこれじゃないかしらと考えているものを書いてみた。